韓国へ行った

 韓国へ行ってきた。

 今回もリムジンバスに乗った。早朝に出てしまうので羽田空港で4時間ほどヒマになるという悲劇が起きたが、牛丼を食べたり、仕事をしたりでなんとかタイムをキルした。クアドラキルだ。

 巨大な鉄の鳥に乗っていたら金浦国際空港に着いた。二度目。何事も「二度目」は面白い。「人生で一度きり」と思っていた体験に二度目があることに、なんでかわからんが安心感と面白さを覚える。まあ近いし、金浦に来ることなんて今後の人生で何度もあると思うんですが。日頃はOKストアと家の往復しかない生活を送っているので、遠く離れた金浦空港の見知った喫煙所にキャリーケースをゴロゴロ転がしていくのは、なんかやっぱり面白かった。

 Uberでタクシーを呼んでホテルに行く。運転手が日本語・英語・韓国語を使えるハイスペックおじさんだったので、柄にもなく談笑っぽいことをした。「東京ではUberは流行ってますか?」「ぼちぼちだと思いますし、自分もUberを使ったのは初めてです。あなたが私にとって初めてのUberみたいなもんです」というような話をした。ハイスペックおじさんによると、新沙駅近くにある宿泊先のホテルは出来たばかりだし、街もキレイでスゴイとのことだった。実際キレイだった。街につくと、ZARAがあり、アップルストアがあり、ALANDがあり、なるほどなと思う。ここは「アップルストアがある街」なんだ。エチュードハウスから現地のキラキラした女子高生が出てきたのを見て、俺は老いて死ぬんだなと思った。

 ホテルに着いてからはMnetを観た。プデュのナムジャ版が放送されていた。男性アイドル一切興味無関心覚事零だったのだけど、Mnetをリアルタイムで現地で観ることによる感動で、なんだか泣きそうになった。トゥッテトゥッテトゥッテトゥテテトゥ!トゥッテトゥッテ!オォ~イ!というジングルを、YouTubeでなく地上波(地上波なのか?)で観るのは素晴らしい体験だった。

 カロスキルはキレイな街で、表参道と原宿駅近辺を濃いめに広げたような雰囲気であった。裏手に出るといい感じにごみごみしていて、看板に「であい」と書かれた謎の風俗店(?)やら小汚いミニストップがある。「Emoi」という名前の24時間パブもあった。昼にかかわらずおっさんとおっさんとOLが飲んでいる居酒屋から、肉が焼ける音と瓶ビール同士がぶつかる音とIZ*ONEのViolettaが聞こえてきた。おかしのまちおか的なお菓子屋さんから、ホテル・カリフォルニアが爆音で聞こえてきた。音が楽しいので、ブルートゥースイヤホンの電源を入れることはほとんどなかった。

 仕事をした。仕事は仕事だった。仕事先からの帰り、タクシーがまったく見つからなくて焦った。仕方ないのでカカオタクシーを導入して、国際電話的な感じでアクティベートした。通信量はいくらかかるんだろう。よく分からんが、それに成功するまで小一時間はかかったし、なんとか拾ったタクシーに何度も断られて正直キレた。悔しくて、人生で初めて面と向かって「Shit」と言ったような気がするし、これには二度目があるだろう。人生はクソなことばかりだ。

 基本的には仕事だったので何日かの出来事を端折るが、何日目かの帰り道で駅三に寄る。このあたりには芸能事務所がゴロゴロあるらしい。あった。Uberで呼んだタクシーから降りると雨が降っていて、傘を忘れていた私はパーカーを深くかぶり、あるところをうろついた。「Nope, I was waiting for Uber and my priority isn’t bothering someone.」というセンテンスをメモっていたが、なんとかなった。これに関しては、もう二度とやらない。

 その後、気が狂ったのでホテル方面に向かって二駅ほど歩いた。高揚感で動いていたがさすがに疲れたので再びウーバーを呼ぶと、日本語・英語・韓国語を使えるハイスペックおじさんが現れた。空港から江南まで乗せてくれた運転手だ。「あぁ~あなたですかぁ!」と言われた。この二度目には驚いた。「同じ運転手さんに二度当たることは初めてです」という話をしたが、通じたかどうかはわからん。

 ホテルに戻ったのち、明洞方面へ行く。今度はバス。ところで私はハングルが若干読めるので、道中の看板やら標識くらいは理解できたりするのだけど、クルマに乗りながら文字を読むとメチャ酔うじゃないですか、それはもうダメでしたね……。

 明洞ではLOONAみやげを買った。CDってホントいらんよと思っていたが、パッケージがやたらしっかりしてるし、なんか写真集みたいになってる。こりゃいるわ。LOONA yyxyの「beauty&thebeat」とLOONAの「X X」だけ買った。その写真をRedditに投稿したらちょっとしたupvoteがついて、そりゃ英語圏のファンはなかなか買えないだろうし、珍しいんだろうなと思った。LOONAのCDはもう結構なところで売り切れぎみで、「渋谷のタワレコに在庫がたくさんあるぞ!!」というスレが立って話題になるほどだった。Music Koreaにはそこそこありましたが。

 明洞はデカいセンター街みたいだった。渋谷と池袋を足したような密度だ。そこかしこに屋台が出ていて、「鶏カルビの天ぷら」という看板もあった。「フライドタッカルビ」ということなんだろうが、まったく意味が分からなかった。ハットグだの謎の焼き鳥だのいろいろあったが、串に刺さった苺を売る屋台が最も不思議で、何かを仕込んでいる鍋から湯気が出ていた。苺ってそんな食べ物だったろうか。新進気鋭のファストフードだったのかもしれない。

 仕事と移動を繰り返して、とにかくお腹が空いたので明洞餃子というお店に入る。「韓国女子旅おひとりさまグルメ」みたいなブログ記事を読んで知った店だったし、日本語OKと言われていたこともあったのでこいつは難易度VERY EASYだぜと思いきや、ジジババが「うわ~出たコイツ日本人or中国人じゃん」という顔で案内してくれた。英語はもちろん伝わらない。「うわ~出たよ英語」という顔をされた。いろいろ挑戦しているうちに若い男性店員が出てきて、「メニューはこれ、うちは先払い」と教えてくれた。「This one and this one」 「만두?」的なことを言ったら、まあ伝わった。 「만두(マンドゥ、饅頭)」の発音は通じた気がしない。餃子だ。出てきたのはカロクグスというにんにくの味がすごいうどんと、にんにくの味がすごい餃子。ちなみに、お金を先払いしたと同時にガムをくれた。にんにくの味がすごいからだろう。

 通じた韓国語と言えば、アンニョン、カムサ、そして「シンニョンカドゥ」だけだ。所詮そんなものだ。どこもそうだけど、クレジットカードがあればだいたいなんとかなる。コンビニで買い物をするとき、ビニール袋は要るのか的なことを聞かれるので、そこだけなんとかすれば会話はほぼ必要ない。仕事中に気付いたのだけど、自分にとって初めての海外ひとり旅だった。まあなんとかなることが分かったので、二度目も大丈夫だろう。終わり。