LOONA「Butterfly」について


はじめに

 本稿は「LOONAは最高だ」という気持ちをいかにして意味のある形にするか、という試みのもとに書いた文章です(以降はおおむね常体です)。Permalinkは普段表に出していませんが、これです。

 [KPOPと私について] というわりとどうでもいい経緯から始まり、[LOONAについて] ではグループの特徴、その次の項では過去の曲を取り上げたりする。MVのキャプチャは意図してYouTubeの再生コントロールごと撮影している。YouTubeで視聴するということは、日本のファンにとっては当然だからだ。

 [LOONAVERSEについて] では、[LOONAについて] で言及したグループの持つ特性を簡単に説明する。本題となる [Butterflyについて] は [LOONAVERSEについて] を受け継ぐ形で書いている。LOONAは私にとって「文脈を読み解くもの」でもあるため、「文章を読み飛ばさない」ということも本稿において非常に重要と考えている。なんて迷惑な話だ。

 ※2019/3/4 正解者からの校閲を経ていろいろなことを追記した。
 ※2019/3/5 韓→英→日の翻訳はさすがにガタガタだったので直した。
 参考:「ぼちぼちいこか」「Cosmic LOOΠΔ」


KPOPと私について

 私は2012年頃、ハロー!プロジェクト関連のアイドルを好んで聞いたり観に行ったりしていたが、今となっては「スマイレージ」が「アンジュルム」になっていることすらも詳しく知らないほどだ。「ライムベリー」は2011年~2015年くらいまではキッチリ追っていて、「MOE-K-MCZ」もなんとなくリアルタイムで知ってはいた。「ライブには行くがサイリウムを持つことは絶対にない」という逆に小うるさいオタクであり、その小うるささときたら勝手にShing02やNUJABES、YOU THE ROCK★の曲とマッシュアップして「オレ文脈」を構築するほどだった。

 アイドルに限らず、キャラクターを好きになると「文脈」の存在は重要になる。「あのキャラクターのイメージカラーは“赤”だから、私も“赤いもの”を身につける」というのも「文脈」があるからこその楽しみだ。「Shing02」「オールドスクール」というのはライムベリーにおいて重要な文脈ではあるが、私がそれを体内で煮詰めるとこうなるということだ。

 そんな小うるさいオタクであった私は、2015年~2018年秋までは「アイドル」を忌避していた。ライムベリーはいろいろあってほぼ別物になり、ハロープロジェクト関連のなにがしにもまるで興味が沸かない。理由として挙げられるのは、「曲が好きじゃない」「女性アイドルに憧れない」「ポップでもサブカルでもある“アイドル文化”の水が合わない」、その他いろいろだ。特に私はインターネットで育った人間かつもうオッサンなので、SNSやオンライン前提のコミュニティにおける「アイドル文化」というのには溶け込めない。むしろ苦手ですらある。

 以上が私が感じてきたアイドル文化についてなのだけど、この間、「KPOP」についてはほぼ触れることはなかった。「少女時代」はもちろん名前を知っていたし、「PSY」もわりと出始めの頃から知っていた。「TWICE」もなんとなく聞いたことはあったが、本格的にKPOPを認識し始めたのは『リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends/LoL)』におけるゲーム内イベントから生まれた「K/DA」というアイドルグループからだ。

 これはLoLのキャラクター用スキンの配信を中心としたイベントで、本物のKPOPグループが参加していたり、LoL自体が韓国のゲーマーと親和性が非常に高いこともあって、文化・文脈的にも分かりやすいものだった。

 「韓国にはLoLプレイヤーが多い、そして上手い」「韓国のアイドルには、欧米でもある程度のヒットを収めるほどのクオリティーがある」というふたつの判断材料だけでも、「ふーん」と納得できた。もっともK/DAの曲自体は個人的にそこまで好みでなく、結局ライムベリーをスルーするようになった私が「女性アーティスト」としてあえて特別視していたのは「Grimes」「Chvrches」くらいだった。


LOONAについて

 そんなGrimesは最近なにをしているのかな~と気になったのが、2018年秋頃。Spotifyで調べてみると、「LOONA/yyxy」というKPOPグループ/ユニットの曲にゲスト参加していることに気付いた。本稿では「アイドルと性」について触れるつもりはないが、GrimesもChvrchesもフェミニズムに強く関わるアーティストであることは予め示しておきたい。

Hello. Finally introducing LOONA.
Are you girls ready? OK,Let’s go.

 もっとも「LOONA/yyxy」の『love4eva』において、Grimesの出番は上記のイントロだけだ(コーラスにうっすら入ってる可能性はあるけど知らん)。「Grimesとアイドル」という組み合わせが果たして多くの人にとって正解だったのか判断できないが、「アイドル文化」にGrimesを関わらせる取り組みは、そのやり口だけで私にクリティカルヒットした。

 「LOONA/yyxy」というのは、「12人組アイドルグループ LOONA のミニユニット」のようなものだ。この曲を知った時点での私は、まあ「ふーん」という感じだ。Grimesが曲書いてると思ったらソッコーいなくなるし。しかしトラックは「少女時代」の『Gee』と同じプロデューサーが担当していたらしく、Grimesの(うっすらとした)存在も相まって、私が『love4eva』をリピート再生するまでに時間はかからなかった。

 LOONAは「이달의 소녀(イダレソニョ)」というユニットの呼び名であり、「本月少女」「今月の少女」「Girl of the Month」とも呼称される。12人というのは「月(month)」の12ヶ月を指していて、当然「Luna」からも由来している。12人ってマジ多いし、デビューには“2016年9月から原則として毎月1人ずつのペースで新しいメンバーを公開(Wikipedia)”というルール/企画もあったし、ミニユニットをつくるのも「分かりやすく打ち出すためのプロモーションの一貫だろう」という認識だった。

 LOONA/yyxyはLOONA本隊(12人)のうちの4人で構成されていて、他にも「LOONA 1/3(5人)」「ODD EYE CIRCLE(3人)」のミニユニットが活動している。LOONA本隊ではメンバーひとりひとりがデビュー曲をリリースしていて、2019年3月までのディスコグラフィーは「デビューアルバム」12枚と「ユニットアルバム」3枚、「グループアルバム」1枚といったもの。秒で後述するが、実際の合計枚数は16枚ではない。

 ここで言う「デビューアルバム」は、各メンバーのソロ曲+αの2~3曲を収録したもの(当然ながら12枚だ)。「ユニットアルバム」はミニユニットの曲を収録したもので、3種のうち2種がリパッケージ版を発売している(計5枚)。「グループアルバム」はメンバー全員が参加しているものを指し、このアルバムもリパッケージ版がリリースされた(計2枚)。

 「デビューアルバム」12枚、「ユニットアルバム」5枚、「グループアルバム」2枚、そして「デジタル配信アルバム」1枚を加えたものがLOONAのディスコグラフィーとなる(2019年3月時かつvia Wikipediaですが)。

 また、本稿ではそれぞれのアルバム収録曲を便宜的に「デビュー曲」「ユニット曲」「グループ曲」と呼ぶ。

https://www.youtube.com/watch?v=AFJPFfnzZ7w

 そんなわけで私は「LOONA/yyxy」と出会い、4人とGrimesの曲を聞いて以降、さらに8人のメンバーが待ち受けるLOONA本隊に遭遇する。大所帯アイドルグループなんて追ったことのなかった私が12人のメンバーを覚えられるようになるまでには、2ヶ月ほど必要だった。

 『love4eva』から「LOONA/yyxy」のメンバーのうちの1人について調べ、その1人のデビュー曲に参加している別のメンバーについて調べる。その別のメンバーのデビュー曲やユニット曲を聞き、そこで参加しているさらなる別メンバーについて調べる。これを繰り返し、16枚のアルバムを一気に聞くことになる。主に『LoL』を遊んでいる間のBGMとして。

 そうして各メンバーのキャラクターやLOONAというグループが持つ性質について理解できたのは、2019年1月頃。この頃には簡単な韓国語も覚え始め、「まうむ」「たがが」「たるこめ」などのアイドルソング的単語も聞き取れるようになった。そのほか「fromis_9」や「PRODUCE48」「IZ*ONE」「BLACKPINK」「APRIL」「UNI.T」「YURI(少女時代)」なども聴くようにはなったのだけれど、LOONAは別格と感じている。LOONAには、私のような人間が持つ「小うるさいオタク心」をくすぐってくれる特別なしくみが用意されているためだ。


LOONAの設定とMVについて

 先述したとおり、LOONAは日本語では「今月の少女」と表記されることがある。正直言ってあまり馴染みのない呼び方だが、「月(month)」と揃えて12人を数えるメンバーには、それぞれ「イメージカラー」が設定されている。

https://www.youtube.com/watch?v=-FCYE87P5L0

 それはアイドル文化において当然のギミックなのだけれど、「イメージアニマル」まで用意されているのは、さすがになんなんだと思った。「イメージアニマル」はそのメンバーのミュージックビデオなどで印象的に用いられる動物であって、例えばLOONAの1人目のメンバー「HeeJin(희진, ヒジン)」のイメージアニマルはウサギなのだけど、HeeJinがウサギ好きなのかというと、別にそういう話をしているわけではないらしい。

https://www.youtube.com/watch?v=846cjX0ZTrk

 私は『LoL』というゲームを遊んでいるときのBGMとしてLOONAの曲を聞いていたのだけど、あるときからMVをYouTubeで観るようになる。先の『love4eva』のMVは映画『エコール』らしい雰囲気を感じさせる場面があり、全員参加の『Hi High』ではクソデカい重機っぽいものをピンク色に塗っちまうというダイナミックなことをしている。金かかってんな~と思う。そして、金がかかった映像を観るのは楽しいな~というスピルバーギーな感覚もあった。そんな言葉はないが。


LOONAVERSEについて

https://www.youtube.com/watch?v=846cjX0ZTrk

 私は映像作品について評論できるタイプではないが(攻殻機動隊は大好きだ)、LOONAがMV製作に多大な力を注いでいることは、さすがにすぐ理解できた。ハイクオリティーな撮影・編集で、メンバーそれぞれのキャラクターを視聴者に印象付けている。「イメージアニマル」「イメージカラー」などをそこかしこに散りばめた映像から「LOONAの世界」を汲み取ることはとても容易い。

https://www.youtube.com/watch?v=LIDe-yTxda0

 例えば、「JinSoul(진솔, ジンソル)はブルーベタという魚がイメージアニマルで、ポップソング的な曲は少ない」「ViVi(비비、ビビ)のMVで印象的に用いられていた“カセットウォークマン”が、Yves(이브, イブ)のMVにも登場する」などなどの情報は、LOONAの曲を聴いたりMVを観たりしていれば、誰もが読み取れる。

 「ジンソルはカッコイイ系」「YvesとViViは仲良し的なイメージがあるのかも」といった連想を誘導してくれるのは、「12人のアイドルグループ」を印象付けるためにとても親切なやり口だろう。それ自体はなんの変哲もないしくみなのだけど、各MVは「LOONAの世界観」を紡ぐための重要な役割も担っている。

https://www.youtube.com/watch?v=LIDe-yTxda0

 YvesのMVでは「リンゴ」がモチーフとして頻繁に使われる。Yvesのイメージカラー/アニマルは「バーガンディ/白鳥」だが、「バーガンディ(ワインレッド)だからリンゴ」という理由だけではないことは明白だ。 「イブ」なんだから。

https://www.youtube.com/watch?v=XEOCbFJjRw0

 他のメンバーや本隊のMVでは「リンゴをかじるシーン」「たくさんのリンゴが落ちているシーン」「Yvesにリンゴを渡すシーン」などが見られる。Yvesというキャラクターがいつどのようにして設定されたのかを考えると、小うるさいオタクとしてはとても面白い。

 LOONAのMVは、視聴者に対して「読み解くこと」を強く勧めている。究極的には、これこそが私がLOONAに傾倒した理由だ。創世記とか引用しちゃったら、押井守みたいだし、『新世紀エヴァンゲリオン』だから……。

 MVから読み取れる「LOONAの世界観」は一部のファンのこじつけなどでなく、公式的に「LOONAVERSE ルーナヴァース」と呼ばれている。公式設定なのにプロフィールで言及されることは(たぶん)ないのだけれど、「HeeJinの物語」「JinSoulの物語」「Yvesの物語」などなどは明確に紡がれている。そして「LOONA 1/3」「ODD EYE CIRCLE」「LOONA yyxy」という3種のグループ内ユニット(表記揺れが有り得る)にもそれぞれ物語があり、関連している。

 例えば、『love4eva(LOONA yyxy)』のMVでは『new(Yvesのデビュー曲)』で使われていたものと同じ衣装が見られる。『love4eva』は、「yyxy」のメンバーが「籠の中の鳥」のように音楽教育を受けている……というストーリー仕立てのMV。その中で、Yvesは2人のメンバーを誘って「籠からの脱出」を試みる。Olivia Hye(올리비아 혜, オリビア・ヘ)というメンバーだけをひとり残して。

 『love4eva』はYvesと共に脱走したメンバーとOlivia Hyeのコントラストを描く……というより、有り体に言うと「Olivia Hyeを疎外してる感」をとにかく強く描く。そんなOlivia Hyeのデビュー曲MVでは、「カセットテープを燃やす」「プラムをかじり、唇を赤い果汁で濡らす」「掴んでいた手を放される」「赤い目を怪しく光らせる」といったシーンが見られ、これまた有り体に言うと「憎悪」のようなものを読み取れる。ここに書いた情報だけでも「Olivia HyeはViViに恨みがあるのか」「自分を疎外したYvesに何を思うのか」といった文脈を推察できるだろう。

https://www.youtube.com/watch?v=UkY8HvgvBJ8

 Olivia Hyeは12人目のメンバーであり、LOONAの中で初めて発表されたメンバーのHeeJinと対を成すような描かれ方もしている。別に「Olivia Hyeが12月でHeeJinは1月」という設定ではないのだけど、詰まるところ「最初と最後」ということだ(たぶん)。この2人のコントラストは、「yyxy」におけるOlivia Hyeの疎外とは別モノであり、その上で「LOONAVERSE」の特に深い謎として埋め込まれている。カヲルくんだって第1使徒アダムに会いに行こうとしたじゃないですか。


「Butterflyについて」の前に(1)

 yyxyのユニットアルバムリリースは2018年5月末。LOONA本隊が揃うグループアルバム『+ +』がリリースされたのは同年8月20日。私がこのように躍起になって筆を執ったのは2019年3月3日のことだが(そして関係もない話だが)2018年10月に仕事で韓国に行っていた。このときの私はまだyyxyとGrimesの曲についても知らず、韓国出張はマジで「仕事」でしかなかった。アホだ。帰国してちょっとしてからLOONAにハマってんだわ。

 そんなわけで、LOONAがソリッドなアイドルグループとして確立してからちょっと間をおいて、私の興味は走り出した。気付いたらGrimesがアイドル曲に参加してる……しかもアルバムもとっくに出てる……そのうえ自分はLOONAみやげもなく韓国から帰ってきてる……そんなアホさを省みることなく、私は3ヶ月ほどLOONAにハマった。12人のメンバーの顔と名前を覚え、ファンコミュニティの考察までは追っていないが、LOONAVERSEの理解もある程度は深まった。

 そして2019年2月19日、『Butterfly』をリードトラックとしたグループアルバム『X X』がリリースされた。それはもう私は大変だ。大変だ私は。3ヶ月という期間はさして長くないように思えるけれど、LOONAをヘビーローテーションして歌詞から韓国語を覚え始めた私は、ようやく本当に追いついた気がした。

 『Butterfly』はグループアルバム収録曲ということもあり、12人のメンバー全員が参加している。そのため、MVの中で「Olivia HyeとYvesの物語」などをピンポイントで語ることはない。ないはずなのだが、この曲のイントロが終わって最初にボーカルをとるのはYvesであり、その次にOlivia Hyeの出番が来る。Olivia Hyeを疎外したYvesは“そっと囁いてくれる? あなたは私の目を覚ますデジャヴ(韓日意訳)”と歌い、Olivia Hyeが“Now is it you now.”と続ける。私が3ヶ月かけて外と内から積み上げた「文脈」を解き放つ理由のひとつとして、これだけで十分な価値がある。

 LOONAのメンバーには、「イメージカラー/アニマル」以外にも「都市」「果物」が設定されている。これが意外にバラバラで、ミニユニット「LOONA 1/3」メンバーには「イメージ都市」らしいものがあり、「ODD EYE CIRCLE」には「セカンドイメージカラー」、そしてYvesとOlivia Hyeが在籍する「yyxy」には「イメージフルーツ」が用意されている。正直「セカンドカラー」はズルいだろと思った。スタンドはひとりひとつまでじゃん。

 まあ、そんな理由もありつつと思うのだけど『+ +』でのフルデビューを経て集合したLOONAはパリ、深セン/香港、LA、アイスランド、韓国といった文字通りワールドワイドな規模のロケーション群を採用した『Butterfly』のMVを作り上げた。パリとアイスランドは「1/3」メンバーのイメージ都市でもある。もっとも、このMVでは「パリ担当のメンバーがアイスランドに行く!」という類の場面は特に存在しないんですが。

 『LOONA TV』というファン向け動画では海外ロケの様子が『X X』リリース以前から見られていたので、「このメンバーがこの国に行くということは……」とLOONAVERSEを追求することは、まあ一応出来た。が、まあ、ここではちょっとそれは割愛する。

 『Butterfly』のMVには「イメージ都市」以外の文脈も盛り込まれている。イントロでは『love4eva』の「籠」を思わせる屋敷、Yvesの「リンゴ」、ViViの「カセットウォークマン」などが挙げられる。『+ +』で一旦の完成を見せたLOONAがまたもや「読み解くこと」を勧めていて、私はそこにゾクゾクしてしまう。

 また「yyxy」にも参加している11人目のメンバー「GoWon(고원, コウォン)」のイメージアニマルは「蝶」だ。GoWonは『love4eva』でYves達と共に「籠」から脱出していた。『Butterfly』で語られるLOONAVERSEは曲が始まる前から展開している。これらを読むことが、私は本当に楽しくてたまらない。


「Butterflyについて」の前に(2)

 アイドルについての文章であるというのに、私はここまで一度たりとも「かわいい」とも「曲が良い」とも語っていない。これがどのようなことかを説明すると、LOONAはかわいい」「きれい」「曲が良い」という言葉で切り取って事足りるグループではないと考えているからだ。そのためにも「最高」などというわずか二文字の言葉で語ろうとしなかった。LOONAは「読み解くこと」が重要なアーティストだ。だからこそ、私の関係のない話もすべて織り交ぜて『Butterfly』にまつわるひとつの文章にしたかった。「140文字以上の文章は長過ぎて読めない」「改行が少ない小説はテンポが悪いと感じる」「今北産業」、そういったものを凌駕する人々の好奇心に対して「キムリプの彼氏は?出身高校は?調べてみました!」などと軽々述べられるだろうか!「だろうか!」で締めると岩波文庫っぽいな。

 そして、この項目から、私は太字を使うことで、筆者として強調したい部分に装飾を施した。これはエゴだ。本当に重要な点を決めるのは筆者ではなく読者だ。3ヶ月という期間で積み重ねた知識・体験はさほど重厚なものではないけれど、私はここ数日間「Olivia Hyeはイスカリオテのユダ」「GoWonは出エジプト記に登場している」「“小さいほうの光る物には夜をつかさどらせた”とすれば、Kim Lipの歌う(あるいは謳う)“Eclipse”は何を指すべきなのか」などなどを延々考えている。小うるさいオタクだからだ。

 「他の誰かのために文章を書く」という行為は、こうした個人サイトでは本質的には無意味と思っていたのだけど、比較してみれば、ここまでの文章は「好奇心旺盛な人に向けた文章」であるのに違いはない。以下の本題は、これまでの「読み解き」を経た私が『Butterfly』を観ながら書いたメモを文章化したものだ。だから深い意味はない。 ここからはもう別になんでもない。私はこれを「最高」と言いたいがために、ここまでの長い文章を書いた。


「Butterfly」について: あるいは、「最高」

 [0:40まで] 既に『Butterfly』MVのイントロには言及していたけど、違うんだ、全部。そういうことだけではない。まず、Yvesの手足の長さに見惚れたい。そういうことだったんだ、私が言いたいのは。『+ +』の頃と比べると、メンバー全員のビジュアルがマイナーチェンジしている。Choerryに至っては紫だ。髪の色が。LOONA TVで“drastically~”って言ってたけど、マジでドラスティカリーだ。

 [0:54] 1分足らずで最重要シーンだ。HeeJinとJinSoul、究極的にはそれぞれの「眉」を観ていきたいちなみにOlivia Hyeは声ネタ的なところもたくさん担当している。

 [1:05] Chuuは前からボーカルとして重要な位置付けだったけど、サビ前の大事なパートを担当するのはLOONAVERSE的にも意義深い。ところで「イ スンガン」は「この瞬間」だ。似ていて助かる覚えやすい。

 [1:10] 海外ロケシーンではメンバーまったく出ないと思うんですが、どの人(人としか言えない)もカッコいい。ちょっと露悪的に描かれてる人(人)もいるけど、いい。香港のタクシーの上に乗っかる制服女子高生はめちゃめちゃポップだ。「イ デロ(i daelo)」は「Just like this.」「このまま」がより正確な表現。

 [1:28] センターはKim Lip。LOONAVERSEにおいて凄まじくハイコンテクストな『Eclipse』というデビュー曲を歌ってたし、Yvesに次ぐ文脈家だと思う。そんな言葉はない。

 [1:55] Olivia Hyeだ。ここでは「クラクラする……眼の前に広がるすべてが真っ青」ということを歌っている(はず)。映像的には夕焼けっぽいけど。

 [2:07] HaSeulだ。ここの“I better be around you.”はYeoJinが担当しているけど、髪型が変わっちゃったので「髪型でメンバーを覚える作戦」の通用しなさが分かった。俺は『Butterfly』リリース直前にギリギリなんとかなった気がしてたけど、初見のときは興奮してて何もわからんかった。何もかも。

 [2:13] ChoerryGoWonだ。ビンビンデアネバビンビンデアのあと、「世界はだんだん小さくなっていく」という旨をHeeJinが歌っているけど、「だんだん」は韓国語で「ヂョムヂョム」。これも覚えやすい。その後のJinSoulとOlivia Hyeのパートは『Egoist』を思い出させてくれる。

 [2:30] サビは“neon machi, Fly like a buttefly.”だ。「neon machi(ノン マチ)」は、ここでは「You just」に相当する。前後関係から「あなたはまるで~」となる。ここでの「イ デロ」はChoerry。ローパスフィルターみたいのかかってるけど。

 [2:50] あ~曲が良いなあ! 12octブチ上げた(実際は知らん)ような“Fly like a butterfly.”はChoerry。“nan daheul deushae(ナン タル ドゥタ)”、日本語で「すぐに届きそう」という意味の歌詞から、Kim Lipにバトン。ところでKim Lipの読みは「キムリプ」というより「キンリプ」な気がするんだけど、詳しくは分からん。ここを締めるのはChuuからJinSoul。こうしていちいち書いていくといろいろなことを覚えられる。

 [3:25] 「(If)I could be synchronized.」に聞こえるけど前半は韓国語で“gureum wiui singkeuronaijeu”、英語で「On top of the clouds, synchronize this new feeling.」。ここでの「新しい」はひらがなで書くと「せろうん」。KPOP頻出ワード。

 [3:28] リンゴ、アルビノっぽくも見える女性、香港(台湾かもしれない)の眼帯女性。かなり文脈やってるけど、ちょっとまだ分かんないですね。この香港(台湾かもしれないからね)は「1/3」のMVでも似たシーンがある。

 [3:43] 大サビ。あ~~~曲が良い! 最高!

 [4:01] HaSeulだ。サビの合間の“jeo kkeutkkaji(Taking me further away.)”もHaSeul。意味は「もっと遠くに連れていって……」。“deo meollikkarji(Even further.)”は「もっともっと遠くに……」。

 [4:10] Yvesがセンターに戻る。最後のパート割りはJinSoul→Chuu→Choerry。全部拾ってないからだと思うけど、Choerryはおいしいところを当てられてるのかもしれない。最年少。当然ながら「チェリー」とかかってるんだけど、イメージフルーツのあるyyxyには参加してないし、当人はさくらんぼが嫌いらしい。そこまで行くといい加減ちょっと分からんが。


『Butterfly』について: あるいは、「最高」(2)

 [0:00] カムバックライブの映像。この動画ではすべての歌詞がハングルだけど、歌っているメンバーの名前も出るので読み書きを覚えやすい。日本語環境ではタイプするの大変なんですが。

 [1:20] Yves→Olivia Hye→Kim Lip。韓国のバミューダトライアングル。特筆すべきところは、Olivia Hyeの“How is it true now.”の指。

 [1:28] MVでの最重要シーン。韓国のアイドルファン、めっちゃうるせー。コールもたまに聞こえてくるんだけど、基本的にはいつも「ひえええ~~~!」って言ってて意味わかんない。

 [1:33] なんか半笑いで投げキッスするOlivia Hye。ひえええ~~~!

 [1:35] ステージを横切るHaSeul。ひえええ~~~!

 [1:46] GoWonがなんか登る。深い意味はないが、覚えておいて損はない。これは絶対に面白い。

 [1:51] 腹筋だけで起き上がる。歌のパートはJinSoul→Choerry。最後の振り付けでHeeJinが十字を切っているように見えるが、私は押井守の聖書引用に脳を焼かれている可能性が高い。

 [2:24] Yvesはウィンクが多い。

 [2:30] Olivia Hyeは、なんでか分からんが常に半笑いだ。ところでOlivia HyeはLoLが好きらしく、MF ADCをやってるらしいけど、詳しい情報は錯綜しててわからん。

 [3:22] このダンスパートでは無表情なので、逆に少し面白くなっちゃう。「HeeJin(희진)」と「HyunJin(현진)」は音もそうだけど、文字も似てて読み分けるのが大変。

 [4:17] 紙吹雪がプシャッてなってびっくりする。このへんのカメラワークは番組によってまちまちなので、全体を確認するのに便利。全体を確認する必要があるときが、あるんだよ。

 [4:59] なんか天井のほうを映す。ボヤ~ってする。意味あんのか?


終わりに

 終わりです。